2016.07.27

パッシブデザイン~受けとめる・受け流す

デザイン道 森づくり

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うずまきスタジオの野草の葉。優れた撥水性をもっています。進化の過程で獲得してきたデザイン(かたち)です。
水玉が転がり落ちる時、表面についたゴミを一緒に取り込んで流し落とす「自浄作用」の機能を持ち、光合成効率を上げることに一役買っていると言われています。

顕微鏡で見た時の葉の表面形状に、その秘密があるのですが、ここにデザイナーの意図は存在しません。

住宅、別荘、保養所、研修施設、etc・・・ 人が介在する建築であること。
ここに、そのプロセスの中で建築家やデザイナーが果たすべき役割が示唆されていると感じています。

2016.07.23

森再生への試み〜潜在植生の森に思いを馳せて

森づくり

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美鈴の家は唐松の木々に囲まれています。同じ別荘地内では広葉樹を主体とした多様性のある植生の土地もあります。
このエリアはおそらく開発計画で、人の手により唐松の植林が行われ、唐松がその勢力を広げてきたのでしょう。

自然に沿う暮らしの中で、本来の植生に近づけたいと感じはじめたオーナー。
増えすぎた敷地内の唐松を切り林床に光と風を入れることを考えて、地域で暮らす伐採のプロに重機を使わない仕事を依頼したのです。

久しぶりに訪れた美鈴の家。光が適度に入る敷地となり、広葉樹の幼樹や野草たちが元気に育ちはじめています。
都会の暑さを逃れ、チャム・クリス・ライナー・ジルが気持ちよさそうに駆けまわる姿が目に浮かびます。

細田@PDO

※潜在植生とは、時間の流れに沿って環境が植生を規定し、環境がさらに植生を変えてゆくという、環境と植生との相互作用の結果進行する遷移とは無関係に、いま人間の影響がすべて停止されたときに、その立地が支え得る自然植生のことで、現実には存在しない理論上の植生概念である。(宮脇昭『植物と人間』より抜粋。ラインホルト・チュクセンが提唱)


2016.06.28

野草談議

森づくり

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うずまきスタジオの造園デザイン図と山渓の花の図鑑を前に、広岡さん@Kinoshita Greenとの野草談議がはじまっています。

敷地内の自生植物の移植や広岡さんが育てた野草の苗木の植え込みも少しずつ進み、アプローチやスタジオの窓から見える風景も見違えるように変化しています。

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PDOのデザイン流儀と同じく、その環境と住まい手の暮らしに流れる時間を大事にした造園デザインをご提案していきます。

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p.s. 変化していく野草の森の見学に、ぜひうずまきスタジオへ!

2016.06.20

道行く人たちの風景をつくる仕事3

森づくり

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美鈴の家の敷地は、ご近所さんの散歩コースの途中にあります。
木立の間に佇む家が気になるのか、立ちどまり眺めていく方が多いのです。
目が合ってしまうとお互いにちょっと気まずいですね。
そんなこともあって、自然な感じの森再生が始まっています。

ここは標高1,600mの八ヶ岳高原。
スタジオのある(標高1,100m)南麓とは気候が違い、植生も違います。
建築でむき出しになってしまった裸地には、この地に適した中高木を植樹し、適度な日照をつくりだします。

その後は、楽しみながら森の成長を見守ります。
自然な庭のデザイナーは住まい手とゆっくり流れる時間。
株立ちのアオハダの根締めは? 
いよいよ山に咲く野草たちの出番です。

2016.06.07

水やり当番

森づくり

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NPO八ヶ岳景観の会の理事をしています。
理事といってもほとんど会合には出席できていません。
それでも会で育てている八ヶ岳潜在種のポット苗の水やりだけは欠かさずやります。
今年も当番が巡ってきました。
早起きして育苗場へ。
約1万ポットは育てていますので水やりには最低でも1時間はかかります。

種採りしてトロ箱で発芽させてポットに移植して3~4年育ててやっと移植できます。
私はただ愛情をこめて水やりするだけですが、
会の皆さんは英知を絞って生長の面倒を見ています。
去年は異常な日照りが続いてマユミなど相当枯れかかってしまいました。
そんなわけで丁寧に藁敷もされています。

混色密植式の潜在森の再生をどんどん推進したいものです。

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