新しいPDOの軽井沢のスタジオは、古い旅籠の一室を借り受けることになりました。誰もがイメージするカルイザワとは違い、静かな追分宿のちょうど真ん中くらいにあります。ですから和風です。
私にはかって建築家として悩みがありました。「中村さんの建築は和風だね。」和風なんて意識したことがないのにこんな風に評されると、とても戸惑います。「そんな風にみえているんだな・・・」とても悩んだものです。
ですからこの強い和風感を発する旅籠「油や」に拠点を設けることについては少々工夫が必要だな、と思いました。わたしたちデザイナーは常に多角的に物事を観る訓練をしています。当たり前の存在をちょっと視点を変えてみると、新しさが出る。「異化」というデザインの技です。たてのものをよこにしてみるということです。
まずは手始めに、間仕切りに使われていた障子を天井に水平に吊りました。光天井です。
これから徐々に「異化」に取り組んでいきます。
しばらく春の嵐が吹き荒れていました。ようやく南麓にも春が来ましたね。甲府の現場ではもう汗ばむほどです。大泉に帰ってまいりますと!いつもと様子が違っています。道をふさぐようにして太い赤松が倒れています。これには驚きました。その後クレーンが南麓中から集められたのでしょう。7台も参集して力をあわせて撤去しています。それにしても電線の張力はたいしたものなんですね。
赤松は森林破壊の象徴です。広葉樹の森を伐り開いておくと、土壌の養分も流れてしまいます。それでも日当たりだけはよいですから、もやしの様に赤松が生えてきて、急成長します。そんなわけでとても弱いのです。
赤松を伐って広葉樹を植えましょう!
この八つ石、どうにかして良い使い方出来ないものか?真っ先に思いつくのが石焼プレート。実際私は牛肉をこの上で焼いて食べています。サーロインなどの脂が多いものでなく、ヒレやモモなど、赤身の肉を焼くと良い。でも、富士でも浅間でも「溶岩焼き」などと称して、皆やっていることでつまんないな。
そんな事を考えつつ、8FINの家のご夫妻に、少々遅めの新年のご挨拶に行ってまいりました。
八つ石プレートを持参いたしましたら、早速葉っぱをもいで大福をのせてくれました。「そうか・・・。食器として使うのも良いな・・・。」などと思っていましたら、「すこーし丸くくり抜いたらもっと用途が拡がりますよ。」目からうろこ、とはまさにこのこと!重大なヒントをいただいてしまいました。
そこで早速スケッチ!