バイオミミクリ(生物模倣)という言葉があります。
自然界や生物の仕組みから学び、新たな製品や仕組みをつくる考え方です。
身近な例として、カワセミの鋭いくちばしを模した新幹線の先頭部分や、
蓮の葉の構造から考案されたヨーグルトの蓋などが挙げられます。
建築もまた自然から多くの学びを得ています。
私たちが無意識レベルで心地良いと感じるものには普遍的な要素が見え隠れしており、
PDOが多様な自然環境の中で挑み、大切にしてきたデザインの核の部分と共通するものがあります。
情報豊かで様々なことが多様化している現代だからこそ、
そぎ落とすことで見えてくる本質的な豊かさを提案したい。
それは決して大きな家ではなく、原型となる住まいです。
そんな想いからMimicry Styleプロジェクトを立ち上げました。
ロゴマークは葉っぱに擬態したコノハズクです。
森環境と同化しながらも快適な暮らしを実現する家です。
南面の大開口は明るく開放的で建物の顔にもなります。
一方で光が入り過ぎるとオーバーヒートを起こしたり、
西日が不快に感じたりといったデメリットもあります。
日除けとしてロールスクリーンを下げたりルーバーを設けると効果的です。
特にルーバーは様々なデザインがあり建築的特徴を持たせることもできます。
ル・コルビュジェは「ブリーズソレイユ」と命名し自身の設計に多用しました。
直訳すると「太陽を砕くもの」という意味になります。
砕かれた光が室内に入り、床や壁に光のパターンを映し出します。
写真の建物はユニークな日除けがデザインされています。
ここでは光がどう砕かれるのでしょうか。
曲面や反射もあって予期せぬパターンが見られそうです。
建物の正面となる部分をファサードと呼びます。
方位で言うと窓の多い南面が多いのですが、
道路から見える外観もまた街並みに影響を与える重要なファサードです。
五十三次の家は折り重なる屋根が山並みと連動し、
高さを抑えることで奥ゆかしさを感じられます。
石積みの間を抜け、ガレージに至るまでのアプローチもまた期待感が高まります。