美鈴の家の敷地は、ご近所さんの散歩コースの途中にあります。
木立の間に佇む家が気になるのか、立ちどまり眺めていく方が多いのです。
目が合ってしまうとお互いにちょっと気まずいですね。
そんなこともあって、自然な感じの森再生が始まっています。
ここは標高1,600mの八ヶ岳高原。
スタジオのある(標高1,100m)南麓とは気候が違い、植生も違います。
建築でむき出しになってしまった裸地には、この地に適した中高木を植樹し、適度な日照をつくりだします。
その後は、楽しみながら森の成長を見守ります。
自然な庭のデザイナーは住まい手とゆっくり流れる時間。
株立ちのアオハダの根締めは?
いよいよ山に咲く野草たちの出番です。
道から少し奥まったところに佇む「里山箱庭をのぞむ家」。
緑の季節には木々の間からその姿が見られます。
家を建てるため伐採された森を整備し、少しずつ新たに広葉樹を植樹。
エントランスへとつながるアプローチの両側。
少しずつ時間をかけ、ご家族で花や低木なども植えていきます。
新緑の季節、住まい手と道行く人たちの目を楽しませてくれることでしょう。
若手デザインフェローたちを引き連れ、中村が土地の読み方を教えています。
住まいには、その土地の自然との深い調和が、求められます。
一本の線を引くこと、現場で指示をすること。
背景にある意図を感じながらデザインすることを日々学んでいます。
羊歯の森の家のオーナーから庭づくりの相談のお電話をいただきました。写真に写っているエントランス前のフジザクラなどは近くに住むお父さんの手による仕事です。
訪ねた時のお父さんの一言。「前の道を通る車が止まって、しばらく眺めていくんだよ。 中途半端な仕事はできないよ!」
完成した住まいは庭と一体になって、地域の風景の一部をつくっていくのだと思います。
境界線を超えて行ったり来たりするデザイン。その地の環境とオーナーの想い、そしてPDOの流儀が合わさり、楽しみな庭づくりが始まります。
細田@PDO