2012.02.09

ヒューマンスケール

できごと

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私は閉所恐怖症です。中央自動車道の笹子トンネルはここ八ヶ岳から都心に出るには、どうしても通らなければなりません。これが私にとって試練なのです。あまりの苦痛に途中で目の前が真っ暗になってしまうのです。どうしてかって?それは目をつぶるからに決まってますでしょう。

だから大きな声で歌を歌ったり一生懸命助手席の方と話をして気をそらします。次の小仏トンネルではさほどでもありませんし、新しいトンネルではまずそんなことはありません。要するにこれが「圧迫感」というものです。

トンネルの巾、天井の高さ、照明にこの原因があるに違いありません。

さて、私は空間作りのプロです。快適な空間とは?についてもうかれこれ30年近くも、来る日も来る日も考え続けてきています。それなのに時として「中村さんの作る空間は天井が低い。」「圧迫感がある。」そんなことを言われることが良くあります。それって本当にそうなんですか?

天井が低いことや窓のすぐ上に庇があることを「圧迫感がある、貧しい空間。」そのようにどこかで誰かに既成概念として植え付けられているとしか思えません。かつてどこかのハウスメーカーが「大物が育つ家」などと称して、天井の高い家を売り物にしてTVコマーシャルしていましたね。(古いなー、それ何年前のこと?)

画像は世に名高いフランク・ロイド・ライトが設計した、ペンシルバニヤ州にある落水荘です。室内の天井高も突き出た庇も2メートルしかありません。ライトも住人も小人ではありません。180センチはありました。ソファに身を沈めて森を眺める。床、天井がバランスよく視界に入り、外部空間がぐっと室内に引き込まれてきます。素晴らしく心地よい空間です。天井高さ2メートルですよ!日本ではまず強い拒否にあうことになるでしょう。

閉所恐怖症のこの私の感覚を、もっと信じてもらいたいものです。