諏訪郡原村は八ヶ岳西麓のなかでも原始的趣を残します。強い冬風の通り道に沿う、森林地帯の敷地です。姥ユリなど貴重な野草が群生し巨大な欅群がそれを覆います。
南東に隣接して湧水が溜まる小さな池があります。日照、水はけを考慮すると、敷地内の一番高いエリアに建築することが有利です。
ところがその建築適地エリアには巨大欅3本が堂々と…。
樹齢にして数百年はあるでしょう。大昔の人々がここを水田にしていた時はおそらく若木だったことでしょう。そんな天然記念物級の欅を伐ることを前提とした計画はできるわけもありません。
オーディオルームのある住居棟、親しい方が訪ねてくる鍼灸サロン、庇付のカーポート、わんこ達が走り抜けるデッキ…、盛りだくさんの要望です。
セットバック5m、巨大欅3本は根の保護のため3.5m離す、屋根雨水は南東の池に導く…。すべての要望を満たす案は苦悩の末まとまりました。