DENのある家

DENのある家

設計:中村大補+橋爪賢一

20.01.10

DENのある家


小学校から徒歩圏ということで候補地になっている土地を視察したのは台風一過の直後でした。

現在の都市生活は利便性を追求したマンション住まい。子どもの感性を育むのには適さないのかもしれません。跳ねたい、走り回りたい・・・ダメ!叱らなければなりません。

仕事の拠点は都心ですが家族と心を育む場として、軽井沢移住を決めました。

プラン要望はどうしても「今」を基準に考えてしまいがちですが、5年先10年先をイメージしましょう。

でもDENのご要望はとても良いと思います。仕事が立て込んでしまえば家を空けることも多くなってしまうかもしれないお父さん。確たる居場所であり、父の存在感を漂わせるために、DENは必要でしょう。

ここは特別な場所にしなければいけません。

中村@PDO

20.01.21

プランヒアリング ―暮らしのピース―


お子さんが生まれ子育て環境として軽井沢を選ばれたオーナー。
これから15年をフォーカスした家づくりがテーマです。

要望は家づくりガイドの雑誌に丁寧にまとめられていました。
必要な部屋や設備はもちろん、最近のトレンドまで押さえている辺りは流石です。
何気ないスケッチからも多くのことが読み取れます。

ここで大切なのは価値観の共有です。
リラックスした雰囲気の中で色々な話をしました。
敷地の特性も踏まえ、プランに落とし込んでいきます。

橋爪@PDO

20.02.04

プレゼンテーション ―未来予見―

事前の家族対話がなされていて具体的ご要望をいただきました。
でも多くは「今」にどうしても照準があっています。
多くの家づくりを経てきた私たちは、
「完成してみたらそれほどこだわるほどのことがなかった」など
多くの事後談を積み重ねています。
大切なのは今現在だけでなく5年度10年後15年後を、
いかに見越して多くのしつらえておくかです。
そうそれこそがデザインです。

DENの要望もご主人の漠然とした間取りのスケッチの最初から描かれています。
「どこでも、そして小さくてよいから書斎を・・・・。」
子育てに積極的なパパですが一人きりの大人の時間は大切にしていただきたい。

お母さんはキッチンに立っていながら子供たち、家中が見渡せること・・・、
これも重要です。
ただ子供は意外とすぐに手離れしていくもの。

さまざまなこと、時間をバランスよく組み立ててデザインしていきます。

中村@PDO

20.02.09

基本設計真っ最中!ー消しゴムかすの山―

若手が作成した図、CADで書かれた線には感情が反映されていません。
そのほうが空間検討にはかえってい良いのです。
鉛筆で手を真っ黒にして、消しゴムのかすだらけにして
家族の生活を、きれいなシーンを想像し徐々に整えていきます。
まるで粘土細工のようです。
こうしたことは今にAIが私の代わりにやってくれるんでしょうか。

中村@PDO

20.02.26

適正な基礎のために ―地盤調査―


木造住宅の地盤調査は「スウェーデン式サウンディング試験」と呼ばれる方法が一般的です。
鉄の棒に重りを乗せ、地面をどれだけ堀り深められるか調査します。
かつては人力で行っていましたが今はコンピュータ制御で自動化されているので精度の高いものとなっています。
建物の四隅と中央部で調査し、判定結果を待ちます。

不思議なもので隣りの地盤が強くても調査してみると弱かったり、
またその逆もあるのでやってみるまで分かりません。
結果は地盤改良工事不要の判定。
早速基礎の設計に反映し見積もりへと移ります。

写真手前、カラマツが倒れています。
針葉樹は成長が早い割に根が浅く、葉も多いので風の影響を受けやすいのです。
建物周囲はもちろん、お隣りに倒れてもいけないので伐採することをおすすめしています。
木を残す場合は総合的な判断が必要になります。

橋爪@PDO

20.03.02

街並みに溶け込む ―外観模型―


基本設計で間取りが固まったところで外観模型を作ります。
平屋をベースに片流れ屋根の高い部分が2階スペースになっています。
外観は街並みに貢献するという意味で公共性があり、
昔からそこにあったかのような自然な佇まいが良いですね。

庭を囲うL字プランは太陽の光をしっかりと受け止めます。
庇に覆われた安心感、あたたかみを感じる板張り、風雪に耐えるガルバリウム鋼板。
素材も使い分けこの場にふさわしい建築になりました。

橋爪@PDO

20.03.18

着工式 ー家族で力を合わせてー


雪の軽井沢に前日入りしたご家族。思いがけない雪に子供たちは大はしゃぎだったようです。
一夜明けて抜けるような空の青さと眩しいばかりの雪景色の中での起工式。子供たちも参加して思い出に残るものとなりました。
工事契約、行政への申請と工事着手に向けて進めていきます。

細田@PDO

20.05.11

工事着工 ―根伐床確認―


関係各所への申請が終わりいよいよ工事スタートです。
まず建物位置を正確に出し直し、基準となる地面の高さを決めていきます。
敷地は一見平らなように見えますが計測器で測ると建物の対角で約72cmの高低差があります。
そこで高い方の地面をすき取り敷地全体で自然な傾斜となるよう調整していきます。


重機で所定の深さまで掘れたところで確認します。
設計図通りになっているか、凍結深度は取れているか、
重要な確認ポイントです。

橋爪@PDO

20.06.03

現場視察 ―今しか見られないもの―


建築の工事現場は囲いの外から見ることはあっても内部に入る機会はなかなかありません。
特に基礎工事はコンクリートを打ち、土を埋め戻した後はほとんど隠れてしまいます。
今しかない貴重なタイミングで現場にお越しいただきました。

この段階ではおおよその建物の大きさがつかめます。
周辺環境との繋がり含めて肌で感じていただきながら現場を一周しました。
それぞれの部屋からの眺め、隣地の借景、庭の広さなど、オーナー自身にも気づきがありました。

ここで得た感覚を活かしながら、引き続きマテリアル検討など進めていきます。
次回はショールームツアーです。

橋爪@PDO

20.06.17

梅雨の晴れ間から恵みの雨へ


天候に左右されがちな基礎工事ですが、ここまで遅れもなく順調に進んでいます。
梅雨の晴れ間を見計らいコンクリート打設です。

コンクリートの養生方法のひとつに「散水」があります。
強度が十分に出るまでの間、乾燥によるひび割れを防いだり、露出面を保護する効果があります。
軽井沢は明日から雨天が続く予報が出ていますが、
湿潤状態であることはコンクリートにとって良い環境と言えるのです。
まさに恵みの雨ですね。

橋爪@PDO

20.06.25

ショールーム見学 ―見て悩んで楽しんで―



基礎工事が終盤となり、来月から大工工事が始まります。
仕上げ材料や設備機器などは現場の進行に合わせて決めていきます。
その前段階としてショールームに行き候補となるものを選んでいただきました。

水栓ひとつとっても色々あります。
使い勝手や好みの違いなどご夫婦で話をしながら検討いただきました。
決めることが多いかもしれませんが、その分納得の行くものが出来上がります。
イメージを膨らませ、最後は現場で決めていきます。

橋爪@PDO

20.07.06

祝・上棟! ―シャープに、のびやかに―


基礎工事が終わると間髪を入れず建て方が始まります。
大工チームとクレーンのオぺーレーターの総勢10名が現場入りしました。
棟上げはまず安全第一に、そしてチームワークが大切です。
棟梁の指示のもと、柱や梁が順調に組み上がりました。

道路から見た外観は高さを抑えて控えめに。
街並みに配慮して威圧感を与えないための工夫です。
一方で室内に入れば開放的な空間が待っています。
ワクワクするような仕掛けとともにこれから形になっていきます。

橋爪@PDO

20.07.22

床暖房パイピング ―モルタル蓄熱式床暖房―



軽井沢の工事自粛期間が近づいてきました。
7月25日~8月31日まで現場作業はお休みになります。

この期間を使い床暖房のためのモルタルを乾燥させます。
モルタル内には架橋ポリエチレン管と呼ばれる耐久性・耐熱性に優れた管を通します。
ヒートポンプ式の熱源機で作られた温水が管の中をゆっくりと流れ、
モルタルが蓄熱体になることで床面が温まる仕組みです。

管の敷設はできるだけ熱が均一に伝わるようにルートを考えながら作業します。
最後に水漏れの原因となる穴が開いていないか圧力チェックをして完了です。

橋爪@PDO

20.07.31

現場視察 ー上棟確認ー



軽井沢の休止期間前に現場にお越しいただきました。写真では見ていただいておりましたが現場で初めて上棟した佇まいの確認です。建物廻りを歩きながら周辺の緑環境につながる植栽や造園についても少しづつイメージを共有していきます。



上棟後の現場では外壁の杉板の塗装色なども決めていきます。サッシ色や周辺の建物との兼ね合いも意識して、外の光の中で候補を絞っていきます。

細田@PDO

20.09.12

構造金物・防水検査 -客観的な目で-



長かった梅雨と軽井沢の工事自粛期間が明けました。
防犯を兼ねて合板で覆われていた外壁に窓が開けられ、
室内が一気に明るくなっています。

大工工事の序盤で建物の耐震性や防水性をしっかりと取っていきます。
構造用合板や筋かいといった耐力壁(地震や風など横からの力に抵抗する壁)が所定の施工をされているか、
雨漏れの原因となる窓まわりや煙突まわりなど防水が取れているかチェックしていきます。
第三者機関による検査も終わり、次は断熱工事へと工程を進めます。

橋爪@PDO

20.09.20

断熱工事 ―高気密・高断熱―


開口部にサッシが入ったところで吹き付け断熱を行います。
所定の厚さや性能を出すため、専門の技術者による施工です。

この断熱材の特徴は木材の収縮に追従して隙間が出来にくいことです。
気密性が高く、断熱性能を維持してくれます。
一方で、隙間が少ないということは遮音効果も期待できます。

断熱性と気密性、同時に高めていきます。

橋爪@PDO

20.10.07

外部塗装 ―庇で守る―


外壁に杉板が張られ、建物に表情が出てきました。
しっかりと庇で覆われているので外壁の保護にもなります。
一方、2階は庇のないデザインなので屋根と同じガルバリウム鋼板で仕上げます。


塗装屋さんが木部と軒天井(屋根の裏側)の塗装作業を行っています。
木部の色はPDOオリジナル配色。
木の優しい表情とガルバリウム鋼板とのコントラストが楽しめる外観になります。

橋爪@PDO

20.11.11

おおらかな屋根と室内空間 ―足場解体―



11月に入り朝晩の冷え込みが感じられるようになってきました。
同時に家の中に入ると断熱材の効果を実感できます。
大工さんから「暖房がなくても快適に仕事が出来るよ」と評価も上々です。

現場は木工事終盤となり、足場が解体されました。
片流れ屋根のおおらかな外観はすでに周辺環境に馴染んで見えます。

室内も明るく気持ちの良い空間です。
天井以外の木部は濃い茶色に染色し、
明るさと落ち着きの両方が感じられる配色になります。

橋爪@PDO

20.12.16

火入れ式 ー薪ストーブのある暮らしー


薪ストーブの取り扱い説明を兼ねて火入れ式です。
都会ではなかなか味わえない炎のある暮らし。薪を運び、焚付けからだんだん火を大きくしていく時間が心を落ち着かせてくれます。

炎を眺めながら遠い記憶を呼び戻す貴重な時間。
自然と共にあること、そんな暮らしを心がけたいものです。

細田@PDO