いかだゆかのある家

いかだゆかのある家

設計:中村大補

16.11.08

完成!いかだ床は星空へ

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前面道路との関係の軸(背骨)と北西方向の深い森の借景方向の軸の2軸をプランに活かすアイデアはオーナーからも賛同いただきました。
2軸ということはへの字ということです。
曲がっているからこそセットバック規制が厳しい建築可能範囲に納めることが出来ました。
敷地のもともとの傾斜にあわせて、スキップフロアです。
狭く長い動線を抜けるとパッと広がるLDK空間。
水が流れて低きに溜まるがごとしにリビングルームは火を囲む心地よい空間となりました。

オーナーの要望の一つ、星空の見えるロフトで家族川の字になって寝ること。
リビングルームの上に浮かぶ、すのこの床はあたかも魔法のフライングカーペットのようです。家族みんなで夜空に滑り出す夢を見ていただきたい。

中村@PDO

16.10.27

完成検査~火入れ式~

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お引渡しを間近に控え、オーナーにお越しいただきました。

外回りから内部の仕上がり状況を確認して頂き、
一段落ついた所で薪ストーブへの火入れ式を行いました。

いかだ床に覆われた空間で
トワイライト色のストーブと大谷石がよくマッチしています。

木口@PDO

16.10.19

タラップ手すり

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いかだ床へいざなうきれいな曲線の手すり。
鍛冶屋さんを悩ませましたが見事な出来栄えです。
空間に動きを与えるデザインです。

鉄柱と共に薪ストーブの独特な色と合わせて明日塗装です。

中村@PDO

16.10.04

足ブラ机

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いかだ床に座っていただき、手すり兼用の机の高さ、奥行きを確認いただきました。
子供が夏休みの宿題をここに座って、吹き抜けに足ブラして・・・・、
とイメージしていますが決めているのはお父さん。
そですよね。子供はすぐに大きくなってしまいますから。

中村@PDO

16.09.23

トワイライト色

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アイアン手すり、鉄柱の塗装色について、またまた難題な要望をいただきました。
薪ストーブ「アンコール」新色のトワイライトに合わせてください、ということ。
薪ストーブ現場設置は工期の最後の最後、クリーニング後です。
それから色合わせして、では職人手配のタイミングに合いません。
そこで、輸入元のファイヤーサイドに頼み込み、トワイライト色のストーブパーツを
送ってもらいました。

現物を見て塗装色見本帳と照合して問題解決!とは簡単にはいきませんでした。
「トワイライト色」、なんて微妙な色なんでしょう。
薄暮をイメージした色なんでしょうが、緑がかった、かといって青味も感じる、
単なるダークグレーではありません。
そのうえ、サンプルは鋳物に焼き付け塗装ですから表面に凹凸があり、
様々な周辺景色を写し込みます。
明度、色味を優先すると30B。色ニュアンスを優先すると30D。

脳のしわがまた増えそうです。

中村@PDO

16.09.17

いい色だなぁ ―ABC!色―

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HEさんがつぶやきながら見ています。
床がらみの材、階段板や床見切りの材はタモを用いています。
床はABC、今は浅い色ですがすぐに赤黒になります。
それを見越してタモ材を染色しています。

HEさんが感心してみている材は、いかだ床の長手の手すりです。
いかだ床から足ブラ座りをして夏休みの宿題をする幅広の手すりです。

これに研磨をかけながら透明塗装をかけます。まだまだ深みが増します。

中村@PDO

16.09.07

いかだ床タラップ

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リビングの上に浮くいかだ床。
ここにかかるステップはあえてタラップと呼びましょう。
動線設計上、それは壁際に寄ります。
登りつくところの天井は勾配下ですからかなり低いのです。
体の大きなパパにはちょっときついですね。
そこで上に行くほど天井の高くなる中心部に向かって段板を跳ねだす、
そんなアイデアがオーナーから出ました。
その段板にあわせてアイアン手すりを曲線にするというわけです。
イメージ通りうまくいくでしょうか?
曲線手すりのダミーを作って検証をしましょう。

中村@PDO

16.08.26

ABC!

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アメリカン(A)ブラック(B)チェリー(C)のフローリングはオーナーのたっての希望です。
張ったそばからどんどん傷付け防止の養生をしていってしまいますので、
私が現場にたどり着いた時にはここしか見れませんでした。
何という良い色でしょう!
今はまだ明るい赤味ですが年を経るごとに赤黒く焼けていくのが材の特徴です。

造作するキッチン天板や階段板はタモ材ですが経年焼けしたABC色に着色塗装する計画です。

中村@PDO

16.08.22

工事再開 ―台風肩すかし―

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中部山岳エリアの八ヶ岳西麓では台風の直撃の経験はほとんどありません。
山ひだがこれほどあれば近づくことはできないでしょう。
今度の9号もやはり肩透かし。
「雨がちの天気」という程度でした。
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丸山の森でも工事休止期間がようやくあけました。
今日から大工工事再開です。
また、造作家具工事で造っていたキッチンの棚も今日先行納入です。
スガツネの超小型の棚下照明を組み込むために一工夫された棚です。

中村@PDO

16.08.08

ひこばえの剪定 

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工事前に敷地内のカラマツはすべて伐採しました。
環境が変わり、この夏から今まで成長を押さえられていた多くの広葉樹たちが、
一気に謳歌を始めました。
その中でも切り株となっていたミズナラが、ものすごい勢いで彦生えをしています。
ミズナラはこのエリアでは森の王様となる樹です。

植栽計画の素案をオーナーにお話ししました。
前面道路からもリビングルームの大窓からも、
この切り株の位置はこの家のシンボルツリーを据えるまさに南西の角。
このミズナラは大きく育てましょう。

そのためにはまずは剪定です。
株立ちの主幹となる数本を残して大胆に間引きします。
成長のエネルギーをそこに集中させるというわけです。

中村@PDO

16.08.02

いかだゆか〜造作工事進む

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8月に入り、現場は工事の休止期間となりました。
ホワイト染色を施した、いかだゆかの天井ができあがっています。
屋根にあいた星空を見上げる大きな天窓。

マストのようにも見える鉄骨の柱。
浮遊感のある、いかだゆかからの眺めはワクワクものです。

細田@PDO

16.06.30

吹付け断熱工事完了

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吹付け断熱工事が完了しました。
天井、壁、基礎が隙間なく覆われました。

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断熱材の欠損があると壁内結露が起きます。
全て基準通りの厚さになっているか、欠損はないか
しっかりと隅々までチェックしていきます。
サッシ廻りは造作枠の取付完了後追加充填します。

木口@PDO

16.06.10

上棟式〜いかだゆかに乗って

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棟上げから一週間、いかだゆかの空間も出来つつあります。
棟梁や大工衆への感謝も込め、ちびっ子達も参列しての上棟式。

お父さんとお母さんの目には、いかだゆかに横になり、星を見上げている子供たちの姿が見えています。 工事休止期間となる夏休みには、いかだゆか初体験です。

夏休みが待ち遠しい!

細田@PDO

16.05.20

祝、上棟!

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image見事なまでの五月晴れ!
絶好の建て方日和です。

平林棟梁率いる大工衆6人で手際良く建て方作業を進めています。
「大工さんってすごいなー!」と言いますと、
「いやいや図面を書く方がよっぽど難しいよ!」
餅は餅屋というわけ。
午前中には棟があがり上棟完了しました。

木口@PDO

16.05.14

基礎工事完了 ―新緑と共に―

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GWが明け新緑の季節が到来しました。
八ヶ岳も様々な草木や虫などが活発に動き出しとても賑やかになっています。

そんな中、土の埋め戻しを行い防湿コンクリートが打設されました。
これにて基礎工事完了です。
長田さん、への字に曲がった基礎は墨出しが難しいですね。
それでもいつもながら素晴らしい精度の出来栄えです。

木口@PDO

16.04.27

立上りコンクリート打設


現場周辺では桜が咲き始めGW頃がちょうど見ごろになります。下界よりも少し遅い春です。

型枠が組みあがり、基礎立上り部のコンクリート打設の準備も整いました。ミキサー車が運んできたコンリートをポンプで圧送します。
気泡、ジャンカ等のない密実な仕上がりとなるように、振動機を用いて隅々まで行き渡らせます。

かつては木槌で型枠をトントンと多人数でたたきました。だから「打設」と言います。多くの職方が息を合わせます。

木口@PDO

16.04.07

着工!

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基礎工事が始まりました。まずは床堀(とこぼり)からです。地盤調査どおりに地表から750~900で岩と言っても過言ではないローム層に至りました。重機の歯も負けそうです。それでも最深のポイントでは1500も掘削しました。
 
このエリアでの多くの施工経験から、調査表を見ることなく状況を言い当てた基礎工の長田さんはさすがです。ポイントにより凍結深度を確保するために残土を寄せて、根入れをとります。
 
木口@PDO

16.03.30

いよいよ着工!

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春の日差しが降り注ぐ中、お神酒、切幣、米、塩を用いて、土地の神様を鎮める儀式です。同時に工事中の安全、ご家族の益々の発展をお祈りしました。家族にとって唯一無二の行事。ちびっ子達の記憶にも残れば幸いです。秋の完成を夢見て、「いかだゆかのある家」いよいよ着工です。
 
木口@PDO

16.03.12

伐採工事

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今年の天気はまったく予想できません。なごり雪にしては降り方も可愛くありません。そんな中、建物の着工に先駆け
伐採工事がはじまりました。
 
もやしのように高く伸びすぎた唐松。倒せば敷地を越境してしまいます。クレーンで木を吊りながらチェーンソーで伐採していきます。「吊り伐り」という技術です。4人チームで手際よく工事が進んでいます。
 
木口@PDO

16.03.04

減床案=磨き上げ案

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基本設計がまとまり、詳細にコストを算出しました。予算をオーバーしてしまいました。さまざまな減額案を検討しました。それでも決定的にコストダウンに至りません。
 
オーナーは同じ建築士。自ら「減床」によるコストダウン提案が出ました。なかなか勇気のいる決断です。でもこれは直接的効果があります。仕様変更では限界がありますから。
 
オーナーアイデアと私のアイデアを合体させてできた減額案。夢がしぼむどころか無駄をそぎ落とされた「ブラッシュアップ」案になりました。
 
中村@PDO

16.01.14

命名変更 ―いかだゆかのある家―

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今まで「にじくの家」の名前で私たちもオーナーも親しんで育ててまいりました。
 
インテリアパースでの空間検討を重ねているうち、「このロフト宙に浮いたみたいでかっこいー」ということに気づきました。
 
このロフトは星を観ながら家族が川の字になって寝るところです。吹き抜けに面して幅広の手すりは、子どもたちが足ブラして座って、きっと夏休みの宿題なんかやるんです。この家の特等席です。
 
魔法のフライングカーペットのような、筏の床です。家の命名を変更させてください。
 
中村@PDO

16.01.07

インテリアパース

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ところで、前々から気になっていたこと。オーナーご主人に建築語が通じる・・・?
通常、専門用語を極力避けて理解がされやすいような言葉にして、打合せを進めていきます。時折、故意に建築語で説明してみても、しっかりと通じている・・・・!もしや?
「別に隠していたわけではないんですが・・・」
初めて名刺をいただきました。なんだ、同人種ではないですか。
 
大都会で大建築の現場所長をしているのですね。工法、規模は違えど家づくりには違いありません。高原の家づくりを私たちに託していただき、あらためて光栄に思います。
 
さて、クリスマスプレゼントにインテリアパースの作成が出来たので配信いたしましょう。年末年始に模型と共にゆっくりと検討いただきたいと思います。
 
中村@PDO

15.12.26

外観模型

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おおよその基本設計がまとまりました。インテリア空間を構成する詳細を検討しつつ、外観については模型検討をします。
 
いつものように、遠景、遠くに我が家が見えてくるワクワク感、それが上手くいっているか?フォルムはどうか?
 
中景、道路から見て家は威張って見えないか?素材構成に合理性はあるか?
 
近景、それはこれから。
 
よし!この敷地だからこそ成り立つ家となっています。
 
中村@PDO

15.12.12

地盤調査

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いよいよ冬が到来し現場周辺でも雪が降りました。
 
詳細な基礎構造を検討する為、根雪になる前に地盤調査を行いました。
 
結果は良好。絵にかいたような優良地盤です。布基礎+防湿コンクリートで設計できそうです。
 
木口@PDO

15.12.08

冬将軍到来!

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先週の寒波で八ヶ岳西麓エリアにも少し降雪がありました。前面道路の状況ですが、数センチでしょうか。例年に比べて気温は高め、雪も今のところ少ないです。
  
ちなみに昨年同時期の周辺道路はこんな状況でした。

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南麓エリアと違い、八ヶ岳の西斜面となる西麓エリア(富士見町、原村、茅野市)は、冬型が強まれば、積雪も多くなります。
  
基礎工事は来春ですが、雪の状況を見ながら伐採時期を決めていきます。しばしの間、暖冬が続くことを願っています。
  
細田@PDO
     

15.11.23

雪が来る前に

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敷地には赤松、唐松が自生しています。樹齢にして50年ほどでしょうか。
  
標高が1400mの八ヶ岳西麓です。積雪もそれなりにあります。建築開始自体は来年の雪解け早々になるとしても、落葉もすみ樹が冬眠しているいまが、まさに伐採適期です。
  
先日のオーナーとの現場での打ち合わせで、リビングルームからの視界の確認もしました。およそ良い、ということになりました。未確定ですが地縄張(建物外周を示すひも張り)をしました。伐採必要樹は全部で28本、抜く根は7か所あります。
  
職人に見積りをとります。
  
中村@PDO

15.11.16

敷地で確認

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まずは初回案をベースに進めていくことが決まり、ほどなくオーナーご夫妻からの「山小屋覚書2」が届きました。

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大きなポイントは、和室の位置を見直すかどうか。リビングからの景色、環境との連続性を重視した現行案か、室内空間の広がりを求めたリビングとの一体化案か?
  
小雨の降る中、現地にお越しいただいたご夫妻。リビングの中心となる場所に立ち、視線の抜け方、周辺環境とのつながりを感じていただきました。
  
和室とつなげることでリビングの包まれ感は損なわれること、自然環境との一体感で空間の広がり、豊かさが味わえること。最終的にそう判断し、現行の配置で進めることに決定です。
  
細田@PDO
     

15.11.02

プレゼンテーション

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計画をむずかしくしてしまっている敷地の特性をむしろ良い特性ととらえ直すのは得意とするところです。
  
まず、接道との関係の軸(背骨)と北西方向の深い森の借景方向の軸の2軸をプランに活かすアイデアはとても的を得ています。南に向いて長手を開放的にするには、奥に細長い敷地では5mのセットバックラインに納めることは無理です。2軸ということはへの字ということです。曲がっているからこそ建築可能範囲に納めることが出来ました。
  
北西方向にきつい勾配斜面となっている。これも通常であれば扱いがむずかしいです。2軸の片方を傾斜に合わせて下げる、スキップフロアプランとし斜面に沿わせます。南に向けた大開口からは抜けた大空と、敷地全貌がインテリアと一体化します。北西斜面だからです。
  
南に大きく開放出来ないことは、片流れ屋根にして窓を空にひらく形状にしても、室内がオーバーヒートする心配がないということです。プランだけでなく外観形状も合理的に決まってきます。
  
会心の出来となりました。プレゼンテーションに臨みます。
  
中村@PDO

15.10.22

敷地との出会い

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原村のなかでも標高の高い丸山の森は八ヶ岳西麓にあります。夏季は冷涼ですが冬はアナ雪の世界です。
   
接道から見て間口よりも奥行が長く北西斜面地です。一見すると素直で特殊性はないように思われました。「この土地のどこがお好きですか?」いつものようにそんな質問をしてみました。
  
南方向に明るく抜けた空と北西方向のウエットで深い森。深い森のなかにオレンジ色のキスゲが咲いています。この2方向の風景が気に入っていらっしゃるようです。
  
さて、いざ机に向かって条件を整理してみますと、この奥に長い、そして北西に向かった傾斜地が、とても設計を難しくしています。緻密なご要望メモ「山小屋覚書」もいただきました。その中でも、
・二つの良い方向に向かう「二軸」プランであること。
・星空を見ながら家族が川の字になって寝るロフトがほしい。
なんて知的なそして夢のある要望でしょう。
 
中村@PDO