城壁の家

城壁の家

設計:中村大補

23.06.02

スイス漆喰 ーこだわりのテクスチャー



建主は国内外のさまざまな建物を訪れており、内装仕上げには当初より漆喰仕上げを希望されていました。今回はスイス漆喰を使います。

テクスチャにもはっきりしたご希望があり、現場視察のタイミングで実際の仕上がり状況を確認いただきました。その場でイメージを伝え、左官職人がコテで壁の表情に変化をつけます。



方針が決まりました。
空間のイメージを左右する壁と天井の仕上げに入っていきます。

細田@PDO

23.04.11

足場ばらし



外壁の漆喰塗りがほぼ終わり、足場をバラしています。
とてもシンボリックな重厚な建物です。



外回りでは並行して外構工事も進めていきます。

細田@PDO

23.03.10

石張りパターン検討


建主ご夫妻に木工事終盤の現場へお越しいただきました。
玄関入って正面のスペースに収まるスキャンサームの薪ストーブ。

炉台は赤銅色が主体の色調の割り肌の自然石を使います。
技術力のある石工職人が現場でパターンを割り付けてくれました。その場で意見交換しながら方針が決まりました。

細田@PDO

22.11.03

現場視察



木工事が進む現場にご夫妻にお越しいただきました。屋根葺きもほぼ完了し、重厚なファサードが出迎えてくれます。



内部は石膏ボードが張られて空間がイメージしやすくなりました。工場では造作家具の製作がはじまっています。

細田@PDO

22.09.26

勝ち負け


近代以前のヨーロッパ民家はティンバーフレーム工法で
柱や梁は露出した表現です。

洋の東西を問わず、我が日本でもこの時代の民家は
やはり同様で、真壁工法と呼ばれます。

製材技術が機械によらず手作業でしたから、
厚み、形が不成形です。
自然な成り行きと言えます。

「城壁の家」ではティンバーフレーム工法のデザインを
ベースにした家です。

柱、梁、筋違の3部材はそれぞれに面取りをしますから、
すべてが同面というわけにはいきません。

勝ち負けをどうするかはとても重要なこと。
棟梁が原寸で模型を作ってくれました。

中村@PDO

22.09.24

ハニカム天窓


車寄せはこの家を威圧的に見せない、遠近感を作り出す、

デザイン操作と言えます。

普段とは違う筋肉、違う建築言語を使って造っている「城壁の家」。それでも節々にPDO流は垣間見えます。

車寄せの大きな屋根面に空が見える穴をあけたいと思いました。
ハチの巣型天窓です。


畳2枚ほどにもなる大きなガラスは120Kgにもなります。

それを支える強度も必要です。

櫻田棟梁はこの造作にもう7日間も没頭しています。

中村@PDO

22.08.12

見えてきたファサード

 


応援大工を投入して木工事を進めています。現場はサッシが取り付けられ、家らしい姿になってきました。堂々たる佇まいです。
手前側の車寄せ部分には下屋がかかります。

細田@PDO

22.06.27

木工事すすむ ー慣れたものを超えてー


いつものテイストとは全く違う骨太の家です。手刻みとプレカットを融合して建て方が行われました。
建主と設計者、そして大工。知恵を出し合い、意見交換しながら未知の領域へのチャレンジとも言えます。
いつものやり方、考え方、ルール。
現状維持を否定して、慣れ親しんだものを超えた先にこそ実現する家だと信じています。

細田@PDO

22.05.20

祝・上棟! ー槌打ちの儀ー



建て方3日目。今週は天候が安定し、大安の佳き日に無事に上棟しました。
16時過ぎ神主さんに来ていただき、上棟式です。

式では祝詞奏上の後、家主夫妻に、永永棟(えいえいとう)・万歳棟(まんざいとう)の掛け声と共に柱を打ち固める「槌打ちの儀」を執り行いました。
ここまでの工事の安全とこれから完成まで安全に工事が進むことを祈願しました。

細田@PDO

 

22.05.04

土台敷き



GW後半、八ヶ岳と南アルプスを眺めながら土台敷きをはじめています。しばらく天候も安定しそうで何よりです。



細田@PDO

22.03.31

丸太梁手刻み1―背骨完了―

城壁の家では近代工法のプレカットと伝統工法の手刻みの
ハイブリットです。

梁幅150、240角柱、丸太梁など、
プレカット機械では加工不可能です。

櫻田棟梁とその師匠の矢崎美治棟梁が
息を合わせ手刻み加工をしています。
その力強さといいますか量感といいますか、
とにかくすごい迫力、生命感です。
(矢崎棟梁は諏訪の名匠で、かの高原ヒュッテ移築でも腕を振るいました。)

オーナーの要望は近代製材技術前夜の手加工。
これはとても難しい。
カンナをかけてはいけないのです。

2階吹き抜け空間に架かる背骨となる
丸太梁の手刻みが完了したところです。=
中村@PDO

22.03.14

ビンテージ加工 ー時のデザインー



格式の高い洋風の古民家造り、「重厚」というキーワード。
建具はその空間の質を大きく左右します。
ずっと懸案事項だった建具の意匠と材質、風合い。
建主自ら探し出した建具のビンテージ加工専門のお店を一緒に訪ねて打ち合わせをしました。



綺麗につくることはやり慣れている建具職人ですが、ダメージ加工を施して時の重みを感じさせる仕上がりにするのはとても難しいことです。
お店のオーナーは車好きで若い頃は車のカスタマイズを好んでやっていたとのこと。好きが高じて輸入建具をビンテージ加工する専門店を始められたようです。
滋賀まで足を運んだ甲斐がありました。よい打ち合わせができました。

細田@PDO

22.02.07

プレカット打ち合わせ ー知恵の結集ー



設計者と大工とプレカット業者。
今回丸太の太鼓梁を使うところも多くあり、手刻みと機械のプレカットのハイブリッドです。

設計の意図を汲んでそれぞれが知恵を出し合います。
建て方に向けてさまざまな取り組みが進んでいます。

細田@PDO

22.01.27

丸太選び ー空間イメージを共有してー



桜田大工と中村で太鼓梁に使う丸太を選びに行きました。この建物の空間を左右する重要な要素です。一本一本チェックしながら組み方をイメージしてどこの梁に使うか番号をふっていきます。

春からの建て方に向けて手刻み箇所の加工から進めていきます。

細田@PDO

21.12.16

基礎工事完了



基礎工事が完了しました。
冬越しの養生をしながら来春の建て方に向けて木材の加工など準備を進めていきます。



細田@PDO

21.11.22

基礎工事 ーコンクリート打設ー



鉄筋が組み上がり、ポンプ車を使ってベースコンクリートの打設を行なっています。



通常の建物より基礎高があり、規模も大きいことことからすごい量の鉄筋です。
スレート石の屋根や外壁の石積みなどがある重量のある建物をしっかりと支えます。

細田@PDO

21.11.11

基礎工事 ー鉄筋組みー



3軒分くらいはあるボリュームのある基礎。今回は専門の鉄筋工を入れて施工を行っています。
ベタ基礎水平部の鉄筋をD13で組んでいます。

細田@PDO

21.10.30

砕石パイル工法



過去に盛り土で造成された敷地。
地盤調査の結果、測定ポイント全般に軟弱層が見られ地盤補強工事が必要との判定がでました。
小さく砕いた天然石を専用の重機で穴を開けながら地面に詰め込んで石柱(パイル)を形成して地盤を補強する工法です。


これで安心して基礎工事が進められます。
細田@PDO

21.10.26

基礎工事はじまる



先週の大安吉日の日、無事に地鎮祭が執り行なわれ、床堀りがはじまりました。
今回は敷地に軟弱層が見られたため採石パイルの補強工事が行われます。採石パイルの杭頭になるところまでまずは総堀りをします。

細田@PDO

21.10.20

焦点が絞れてきた


オーナーが求めているのはハーフティンバーの家。
日本でいうところの真壁工法の家です。

製材技術が機械によらず手作業の時代、
建築で扱う素材は粗削りな分だけ生命感に満ちていました。

それを現代で再現してほしいということです。
それでいて最新の構造強度、高気密高断熱を兼ね備える家。

正面に臨む富士山を生活の中で堪能するために、LDKは2階です。
高齢のご両親も同居ですからエレベーターも組み込みます。

これらの要件を一つの建築にまとめ上げる設計には
時間がかかります。

最近になってようやく理解できてきました。

その一つ、外観デザインことにファサードは重要です。
この家は北面が顔となります。

様々なことにようやく焦点が絞れてきました。

中村@PDO

21.09.13

地縄張り



基本設計を進めています。
石組の擁壁との距離、富士山や南アルプスの眺望。様々な要素を検討しての配置計画です。
現地で地縄を張り、ご夫妻に確認いただきます。

細田@PDO

21.06.15

インテリアパース ―イメージの共有—


私にとっても未体験ゾーンの建築表現となります。
丸太組の架構法については日本の伝統工法を学びましたので、
それを活かせるチャンスではあります。
ただあくまでオーナーが要望するのは、
ヨーロッパのクラッシックスタイルです。

イメージの共有が念入りに必要です。
そのためにもインテリアパースは有効な手段です。
中村@PDO

21.06.10

外観模型


わたしは総2階家をほとんど設計しません。
一貫したデザインテーマが「いかに大地と一体化するか」だからです。

この家のテーマは富士山眺望を生活と一体にするために、
2階にLDKと浴室を配することです。
空と関係性を持つということです。
また2世帯が暮らしますのでベッドルームも多いです。
これらを1階に配します。

必然的に総2階となります。
模型を作ってみますと・・・・・・、
太いボリュームの家です。

中村@PDO

21.06.03

まずは城壁のデザインから

敷地にある段差は伝統の技、穴太積みで石組します。
城壁が居城を守る、
そうした機能はありませんが
この石組はさながら城壁のようです。

ここ八ヶ岳南麓から出土する巨石は例外なく
丸みを帯びています。
遠い昔山崩れなだれで転がってきた岩だからです。

独特の石組はこの地元の石は適さないと思います。
用いる巨石の収集は穴太衆の皆さんにお任せです。

土圧をうけて凛とそそり立つ表情をつくる。
いくつかのエッジが必要でしょう。

まずはここからデザインします。

中村@PDO

21.05.27

プレゼンテーション ―厚く、重く―


柱も梁も筋違も太く、曲がっていること。
天井高は2700、階段幅は1500・・・・、
とにかく何事も厚く、重く、昔の感じに。

くれぐれも、和風、山小屋風はだめ。
それでいて耐震、省エネルギーしっかり性能確保。

製材加工技術が機械化される前の建築は粗削りです。

その分、材の性質は顕著に出ますし、
材の生命感も損なわれないという良さがありました。
近代建築が失ってしまったことにあえて挑戦しようという家です。

中村PDO

21.04.03

なぜPDOでなければならないのか?


オーナーは格式の高い洋風の古民家造りを望んでいます。

「重厚」がキーワードとなります。

それは意匠の話。

一方で耐震性、高気密高断熱性についても多くの研究をされていて、

性能の要望も高いです。



当初この仕事は私がやるべきなのか?

とても悩みました。

オーナーはすでにここにたどり着く以前に、

その辺の研究は十分になされていたようです。



お話を伺ううち、

この、誰がやっても難しい仕事を、

私がやるべきなんだろうと強く思うようになりました。



中村@PDO

21.03.20

城壁の家


敷地は、かつて造り酒屋でした。美しい水が湧き出る井戸を持ちます。

八ヶ岳南麓特有の富士山、南アルプスを広く眺望する絶景地です。
広い敷地には段差があり古来より地元の石工が積んだ石垣と最近組んだものとが混在しています。

この地に終の棲家を築こうと決めたオーナーはこの石垣を未来への文化遺産としようと決意しました。
安土城の7階建ての天守閣や櫓群を支えた、400年の時を経た今も、重厚かつ堅牢な石積みはそのままです。それをなした穴太衆とよばれた石工集団は現在も15代目にその技術が受け継がれています。
この家の礎となる石組を穴太衆にゆだねることにしたのです。

中村@PDO