欅三兄弟の家

欅三兄弟の家

設計:中村大補

15.10.05

敷地調査~原始人類のメッセージ

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諏訪郡原村は八ヶ岳西麓のなかでも原始的趣を残します。強い冬風の通り道に沿う、森林地帯の敷地です。
 
境界線は変形しています。落ち着いて杭を確認していきます。姥ユリなど貴重な野草が群生しています。巨大な欅が3本もあります。どうやら敷地内のようです。南東に隣接して湧水が溜まる小さな池があります。日照、水はけを考慮すると、敷地内の一番高いエリアに建築することが有利です。
  
ところがそのエリアにこの巨大欅3本が堂々と・・・。樹齢にして数百年はあるでしょう。比較的低い高さから枝分かれしています。太古の人類が水田にしていた地域だったのでしょう。日照確保のために伐ったのだと思います。
 
そんなご神木の域にある欅様方を、伐ってまで人の住処を築くことが許されるはずがありません。
 
ここを終の棲家とし同時に鍼灸の治療院を併設する計画です。オーナーも枝はらい程度はともかくもちろん樹を活かすのが要望です。
 
計画はもちろん住まい手の幸せを実現するためのものですが、将来の人類への良きメッセージを残すという責務も課せられています。
 
中村@PDO

15.10.10

プレゼンテーション案完成

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オーディオルームのあるご夫妻の住居棟、親しい方が訪ねてくる鍼灸サロン、庇付のカーポート、わんこ達が走り抜けるデッキ・・・・、盛りだくさんの要望です。
  
条例の境界線からセットバック5m、巨大欅3本は根の保護のため3.5m離す、屋根雨水は南東の池に導く・・・・、
  
そのすべてを満たす計画作案は当然難航を極めました。坊主頭にも、しわが増えました。
  
中村@PDO

15.10.15

いざプレゼンテーション

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案は出来ました。オーナーへのプレゼンの前に、恒例の社内プレゼンです。「難解!」皆の意見です。それでは!と、ひろよさんが模型を作ることになりました。「屋根がむ、むずかしい・・・・」そうですね。私のデザインの多くは連続性を表現するため、庇先端が巡るので難しいのです。
  
模型もあり、屋根の水処理、欅との関係など、プレゼンテーションも上手く出来ました。「PDOらしい案です!」とオーナーから褒めていただきました。
  
中村@PDO

15.11.30

三兄弟に会いにいこう

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昨日から急に寒くなりましたね。八ヶ岳の峰々も例年よりも遅いですが雪化粧しました。粉砂糖をふりかけたようです。

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アシスト担当する若手スタッフと三兄弟に会いに行くことにしました。北は蓼科山から南端の編笠山まで冠雪した壮大な風景に心躍ります。現場はもうすぐそこです。
  
おそらく今朝は氷点下だったはずですが、深い森の中だけあって地面に霜柱はありません。寒風にさらされていないのは良いことです。
  
「これが一朗、これが次郎、これが三郎・・・」とスタッフに説明していきます。返事はありませんでしたけどね。プライドが高いのでしょう。
  
中村@PDO

15.12.28

配置提案

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樹齢数百年にもなる大欅4本を縫う様にして配置計画された建築提案です。図面では「なるほどPDOらしい」とお褒め頂きましたが、オーナーとしては現実的にイメージは難しいはずです。
 
「一朗の脇をとおって次郎の正面に2台の車を停めて、次郎と三郎の間をドックトロットにして・・・」難解です。早朝より計測機械も持ち込んでジグザグする平面形を敷地に記していきます。
 
オーナーにはお昼においで頂きました。「やっとイメージ出来た!」とのことです。ここが玄関で、ここがリビングソファの位置、森はこのように見えるのか・・・・。
 
大切なプロセスを一つクリアです。
 
中村@PDO

16.01.08

地盤調査

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建物の配置確認ができたところで地盤調査を行います。
 
調査方法はスウェーデン式サウンディング試験です。スクリューを取り付けたロッドに荷重と回転を与え、どれだけ貫入していくかによって地耐力を調べます。
 
ポイントを変えながら調査を進めていくたび、石に「ごりん」とあたります。どうやら見立て通り礫層のようです。時をかけ、石達にじっくりと圧された地盤。十分な地耐力を確保できることでしょう。
 
鈴木@PDO

16.01.28

基本設計 ―ライフスタイルの反映―

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住居棟のご要望が手紙で届きました。メールで文章化するよりも手書きのスケッチを私に見せたかったのでしょう。玄関ホールをLDKと間仕切って風除け室的に、段差なく広々と、導線の突き当りにはTVよりも薪ストーブを・・・・、ご要望をそのまますべて反映すると、少々矛盾した平面計画になりそうです。「これでお願いします」ということではなく、「こんな風に考えたけどどお?」ということでしょう。これ以上はメールのやり取りでは無理です。
 
早速、八ヶ岳においでいただき打ち合わせをすることにしました。高冷地にお住いの経験はないでしょう。過度に室内気候について防備を考えてしまったようです。また、立体空間の把握や想像はなかなか難しいものです。さまざまに意見交換をしながら、次第に糸はほぐれていきます。
 
打ち合わせが終わる頃には皆が納得のバランスの取れた平面計画がまとまっていました。
 
中村@PDO

16.03.19

雪中会談

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南麓のスタジオ周辺では10センチほどでした。ここ原村では25センチくらいでしょうか。やはり気候が違います。
 
本日は雪の中での重要な方針協議。基礎工事でカットする、ケヤキの根の保護をする造園屋。根とのバランスを考慮しながら
高所で枝の剪定作業をする伐採業者。そして敷地までの曲がりくねった道の運行と作業高さから、クレーンの大きさを決めるオペレーター。
 
芽吹き前、二郎へのダメージ軽減と作業に入れる敷地状況を考えながら、絶妙なタイミングでの四者会談です。
 
自然が相手。力を合わせて最善を尽くします。
 
PDO 細田
       

16.03.28

伐採工事

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欅三兄弟の枝の剪定と伐採工事がはじまりました。
 
三兄弟のなかでもちょっと老け顔の次郎。今回の剪定作業のなかで1番気を使います。背高のっぽの三兄弟。高所作業車ではなくクレーンを使っての吊り伐りになります。
 
吊られた枝は地上で待つ重機がキャッチ。そして木(枝)を粉砕してくれるチッパー(粉砕機)まで運びチップにします。防草のマルチングにもなりますし、時を経て土にかえります。
 
つど剪定箇所の確認を取りながらプロ集団の慎重かつ丁寧な作業が進んでいきます。
 
鈴木@PDO

16.04.05

インテリアパース

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床素材は木と石ですが、段差をつくらずに広々と感じさせる空間に。リビングから2階のオーディオルームへとつながる片流れの天井で一体感を演出。ダイニングキッチンとリビングの広々空間は、たて格子の建具により伸び縮み自在。圧迫感のないプライベートゾーンに変化・・・。
 
平面図や展開図からこうした空間のつながりや素材構成の雰囲気を想像することは、訓練された私たちでなければなかなかわからないものでしょう。3Dパースで表現し、プレゼンテーションしました。
 
窓の風景は実際の森です。今まで曖昧だったイメージがぐっと明確になり、設計の意図を正しく伝えることができました。
 
このツールを元にさらにオーナーとの意思の疎通を図っていきます。
 
鈴木@PDO

16.04.09

欅3兄弟の家 ―命名変更―



秋の着工をめざし設計を進めています。本格的に水を樹が吸い上げる前に建築支障樹は伐採されました。同時に、この家の象徴でもある樹齢数百年ケヤキの剪定と根切を蔵松園の誠さんにお願いしました。

そこで判明したこと。大ケヤキは4兄弟ではなく、3兄弟であったこと。一番奥の樹は「エノキ」でした。剪定している誠さんが気づきました。なので欅3兄弟+いとこ榎です。

剪定と合わせ3兄弟の根を切り、保護措置をしておくのはこの時期が最適。さらに一番影響をうけるのは次郎はそれでなくても、少し弱っている、と誠さんの見立てです。丁寧に根切、剪定とともに強壮剤の注入もしました。

中村@PDO

16.07.20

協働作業〜イメージすり合わせの先のデザイン

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「家づくりは環境と住まい手、建築家、たくさんのつくり手たちとの協働作業」
中村がよく話す言葉です。
協働作業をする上で大事なこと。それは同じ方向を目指していること、リズムを合わせていくこと。そして、ワクワクする建築をつくろうという想いの共有なのだと思うのです。

頭では理解していても、スピードや効率を求められる今の時代にあっては、難しいことでもあります。
PDOの「O」は、orchestraの頭文字。
相手の声を受けとめ、ともに考えて行動する先に、家づくりというシンフォニーがつくられていきます。

細田@PDO

16.08.22

宙に舞う切麻(きりぬさ)

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滞りなく工事契約も完了いたしました。
その後に欅三兄弟の敷地に赴き、土地の八百万の神さまにご挨拶です。

「お父さん、お母さん、何してるの?」
チャッピィとカンナは敷地の片隅からじっと見守っています。
お神酒を建物の四隅に撒き、切麻で土地を祓い清めました。

オーバースローで放たれた切麻が宙に舞います。
工事着手の許しを得て、工事中の安全とご家族の益々の発展を
みんなで祈願いたしました。

細田@PDO

16.08.29

湧水処理―ガニ―

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原村も鉢巻道路の西の準山岳エリアは永住型の住まいが増えています。
このエリアはさらに西の田園エリアと違い深い森林に覆われていて、
原始的縄文的な趣があります。
原村や富士見では古くから田園エリアに八ヶ岳が集めた水を供給する水路や湧き水を
大切に保全してきました。
河川がない代わりに多くの伏流水が地中の礫層に流れていて雪解けの時期は、
地表にもあふれ出て流れます。
それは特徴でもあり建築支障ともなります。

湧水処理のための溝づくりを「ガニ」工事と呼びます。
語源は?「昔からそう言っている。意味なんかかんがえたことないよ。」
とヤマカンさんは言います。
基礎工事に先立ち計画家屋の傾斜上手に深くは1.8mの溝を掘り、
湧き水を導きます。

中村@PDO

16.09.10

根切り開始!

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仮設電力引き込み、ガニ(伏流水除け)工事を経て、根切り工事が始まっています。
タイミング悪く台風が襲来したこともあり予定よりも4日ほど着手が遅れてしまいました。

欅3兄弟の根っこの露出に細心の注意を払いながら掘り進めます。
水位が高いせいか、太い横根は地表ぎりぎりに伸びているようです。

中村@PDO

16.09.19

配筋検査

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「検査をお願い!」と基礎屋から連絡がありました。
PDOによる社内検査です。

鉄筋が指定通りの間隔で組まれているか。
コーナー部の定着長さは充分とれているか。
コンクリートのかぶり厚、鉄筋径、根入れ深さなどなど。
たくさんの項目をチェックしていきます。
隠れてしまう部分はしっかりと工事写真として記録していきます。

社内検査を終え、そのまま引き続き保障機構の検査です。
もちろん指摘事項なしでした。

鈴木@PDO

16.10.06

進む!基礎工事

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今年は発生時期長雨にたたられて毎年楽しみにしていたキノコの収穫がありません。

雨だからと言って家でゴロゴロしているわけにもいかない基礎屋さん、ご苦労様です。
雨などお構いなしに工事はどんどん進めています。
「ほんと困るよな!」ぶっつけどころのないぼやき。
気持ちはわかります。そのうえこんなに難しい設計。
ゲスト棟と居住棟、それをつなぐドックトロット(通路のことです)の
3棟あるこの家では時間も、手間も普通の3倍。

せっかく組んだ型枠の中に水が溜まってしまわないようにシート養生をしながら、
ていねいに進めます。

中村@PDO

16.10.12

PC ―細工は流々―

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一軒でも難しい我がPDOの設計。この家ではそれが3棟分あります。
欅3兄弟の間を縫うように連結します。
なので一見とても難しい設計に感じてしまうのです。
一つ一つはシンプルなんです。分解して考えよう。
「またまた!中村さん、その手にはもうのらない!」
いつもの掛け合いです。

土台、柱、梁すべてをコンピュータ入力して自動的に刻んでくれる夢のような文明の利器。
プレカット工法は難しい設計要求にもこたえてくれます。
それもそのはず、入力するのは元大工の規元さんなんですから。
一日かけてみっちり隅々まで打ち合わせして、細工は流々。
後は機械に任せましょう。

中村@PDO

16.10.25

基礎工事完了

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基礎工事完了にあわせてオーナーが現場視察にいらっしゃいました。
現場報告で写真はお送りしていましたが、やはり実物は迫力が違います。
「完成後の生活実感が湧いてきます!」とのお言葉です。

サロン棟、ドッグトロット、居住棟の3構造部が関連性を持っているため、
寸法精度にはとても神経を使う難易度の高い工事でした。

鈴木@PDO

16.11.10

土台敷き~軽やかな足取りで~

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ここ数日一気に冬を感じるようになり、八ヶ岳の高嶺にも雪をまとうようになりました。

けやき三兄弟の家では今日から大工工事がはじまりました。
まずは土台敷き。
深澤大工が軽やかな足取りで指定の場所へ土台を配置していきます。
土台は基礎に埋め込まれたアンカーボルトにより、しっかりと緊結されていきます。
そうすることで風圧や地震による引き抜きに「ぐっ」と耐えることが出来るのです。

数日後に控えている建て方にむけ、作業は進みます。

鈴木@PDO

16.11.15

建て方―さすがにやりごたえがある―

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昨日は雨を見計らいながらでしたが、建て方2日目は天気も上々。
応援の大工6人も駆けつけて深沢棟梁大奮闘です。

それでもこのボリューム、さすがにやりごたえがあります。
ゲートのあるサロン棟、ご夫妻の居住棟、それをつなぐ屋根付き廊下(ドックトロット)。

道から奥の居住棟を先に組み上げて、クレーンを移動し、
サロン棟に取り掛かっています。
画像のカットはKIG監督が居住棟煙突から撮ったものです。
ドックトロット部の組み上げまでは今日は至らないでしょう。
いよいよ明日、完全上棟です。

中村@PDO

16.11.18

祝!上棟

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無事に居住棟、ドックトロット、サロン棟の完全上棟となりました。
夕日が見守る中、野地板(屋根下地板)を手際よく張り進んでいきます。

垂木のきれいな並びや、大切な構造体なる迫力のある大きな梁。
作業が進むにつれ隠れてしまうのは少し寂しく感じます。
でも、これからオーナーの思いが仕上げとなって見えてくるのもとても楽しみで、待ち遠しくもあります。

次にオーナーがいらっしゃるのは上棟打合せ。
一気に成長した「けやき3兄弟の家」をご覧いただけることでしょう。

鈴木@PDO

16.11.25

上棟式-冬の気配-

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今時分にしては少し空気がツン冷えた日に上棟式を執り行いました。

まずは現場確認。
サロン棟からドックトロットを経由し居住棟へ。
2階のこの窓からはこんな風に見えるのね、と
空間のひとつひとつを確認していきます。

そして深澤棟梁のもと執り行った上棟式。
建て主、工事関係者たちの思いを1つにできた、良い機会となりました。

「安全第一で工事を進めてください」と、オーナーからお言葉をいただきました。
上棟、おめでとうございます!

PDO@鈴木

16.12.09

巡る巡るデザイン―かんぴょうのごとし―

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「まるでかんぴょうのようですね」悪びれずHEさんはつぶやきました。
「PDOデザインの神髄はかんぴょう」すごい表現だ。
(特に私はおこりませんでしたよ)

欅3兄弟の家は大樹を縫うように軒先が延び、登り、曲がり・・・・、
巡る巡る屋根デザインです。鼻隠し、破風板はまるで生き物のようです。
それでもよく見ると隙間を設けている部分があります。
これは構造上のひずみを吸収するいわゆるエキスパンションです。

巡る巡るかんぴょうデザインも奥深いものです。

中村@PDO

16.12.13

マテリアル決定打ち合わせ

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ほとんどのハウスメーカーでは着工前に仕上げ材・色(マテリアル・カラー)は
決定済で工事スタートとなると聞きます。
PDOではオーナーが決定することのできる状況を工事の進捗にあわせて整えていきます。
これは当たり前のようでいてなかなか難しいことです。
なぜか?現場運営担当者は資材発注、納品を工程に擦り合わせるのに苦労するからです。
最近ではメーカーも在庫を極力持たないようにしますので納期もかかります。
どうしても決まりそうもない時は・・・・、決まるまで保留です。
その結果工事が遅れてしまうこともあるでしょう。

欅3兄弟の家はゲスト棟、居住棟と複数用途ですので使用マテリアルも多いです。
事前にイメージのすり合わせをし、サンプルもそろえておきます。
そのうえで打合せにはしっかりと時間をかけます。
今日はしっかりと決まっていきました。

中村@PDO

16.12.26

イングルヌック―憩いのぬくもり―

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12月としては雪もなく比較的暖かな日が多いとはいえ常に外で働く職人衆にとっては「寒いものは寒い」のです。
大工は朝8時には現場に出勤し、昼食は芸のうちとばかりに早々にすませ昼寝します。
そして10時と15時に必ず憩います。休息は安全、品質を守ることとつながります。

現場を訪れたのはちょうど10時過ぎ、4人の大工衆が休憩をとっている時間です。
サッシ取り付け中の「欅3兄弟の家」ではいまだ、風が遠慮なく吹き抜けます。
なるほどうまい場所を見つけるものです。
風も除けられて、暖気がこもって、4人が寄り合うには程よい狭さ。
即席のテーブルがしつらえられカレンダーもあります。
これぞイングルヌック!

中村@PDO

16.12.29

オーディオルーム床補強―金物検査―

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オーディオマニアのオーナーの希望は「オーディオルームらしくしたくない」でした。
窓はほとんど設けずに、床はコンクリートなどにするため一階に、ということが一般的でしょう。
この家では、陽当たりよく美しい森と池が見晴らせる大きな窓のある2階に設けています。
多くのスピーカーを据える床は通常の3倍の材積の木材で下地補強しています。
もちろん振動で動いてしまわないようにすべて金物で締め付けています。

いつものように上棟後の土台、柱、梁、構造合板の適正な金物締め付けがすべてされたか、
一つ一つを確認し記録しました。

中村@PDO

17.01.07

それぞれの仕事はじめ

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電気配線工事は結局元旦以外は続けていました。
さすがにこの現場の線は太い。

屋根工事は3日に終えました。
見事な出来栄えです。

大工は・・・6日から現場復帰しました。

皆まちまちに仕事はじめです。
とはいえ日本人はよく働きますね。

中村@PDO

17.01.11

中も外も真っ白け -断熱材吹付け-

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断熱材吹付け工事の2日前に雪が降りました。
幸いにもその後は天候の良い日が続き、作業も滞りなく進んでいます。

外部に面する壁、屋根、基礎の立上りに水発泡の断熱材を吹き付けていきます。
隙間なくみっちりと吹き付けられた断熱材。
しっかりと気密と断熱を得ることができるでしょう。

大工さん達もこれで外気に震えることなく作業ができますね。
憩いのイングルヌックも見納めです。

鈴木@PDO

17.02.06

非日常性のデザイン

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骨組みのうちは森の中でわけもなく大きく見えていたものが、
進むにつれて家としてデザイン要素が付加されていくとむしろ小さい外観に
印象が変わっていくものです。
それに比べて内観は進むにつれて広さを実感することになります。
それなりの広さを、様々な工夫で広く見せるデザインが施されているからです。

リビング吹き抜け空間は板天井と2階の音響室の斜め壁がおりなす、
不思議な空間が姿を現しました。
内部に組んでいた足場を解除したいので塗装も済ませる先行工程です。
ワクワクするような非日常性があります。

中村@PDO

17.02.09

サロン棟2階で家具打合せ

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造作家具打合せのタイミングとなりました。
PDOの設計ではどの家でも5~6点の家具が盛り込まれます。
洗面台、玄関クローゼット、ワンちゃんの足洗台、キッチンカウンター・・・。

家具打合せでは最も難易度の高いスキルが求められます。
文字通り多くの引き出しが必要になるということです。

すんなりと決まる玄関クローゼットから打ち合わせを始めます。
ウォームアップですね。
心持ちも次第に現実的になっていきます。

そしていつもながら一番時間を要するキッチンに至りました。
「そんなにこだわらないから・・・」とおっしゃいます。
でも・・・こだわりが引き出されていつも通り白熱した打ち合わせとなりました。

中村@PDO

17.02.18

悩ましい ーこだわりのモザイクタイルー

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みなさま、タイルにはとてもこだわります。
他のマテリアルはリズムよくポンポン!っと決まっていくのですが、
いざタイル!となると、考え込んでしまいます。

けやき3兄弟の家では、オーナー自ら探し出した美濃焼きタイルを使用します。
「こんな風にレイアウトしたい!」と送付いただいた数枚の写真を基に、家具図に割付けをしていきます。
ポイントタイルも割付けてみました。

う~ん、難しいですね。
思いっきり凝っても良いのですが、意外とすっきりシンプルの方が飽きがこず、良い場合もあります。

割付け図をお送りし、オーナーとのやりとりを進めていきます。

鈴木@PDO

17.03.11

気分はマイケル・ジャクソン

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音響効果のためにも、空間に特徴を持たせるためにも、
オーディオルームのスピーカー背面の壁は斜めにしています。
斜め壁を際立出せて見せるために壁と天井取り合い部に、
ガラス入りの隙間を設けるデザインです。

その壁の両サイドの建具造作のため家具職人が採寸に来ました。
メモをとる姿を見て感じたこと・・・・。

「斜め壁に寄りかかっている…!」

この個性的な壁を際立たせるためにしたデザイン操作が思いのほか効果的で、
実は怖くてまだ寄りかかっていません。
もちろん、猪木がドロップキックをしても大丈夫に施工されています。
それでも「感覚的に」不安なのでしょう。
現場監督の木口は大工と一緒によりかかってみたそうです。

今度現場に行ったときは、私も勇気をだしてマイケルのあのポーズをしてみたいと思います。

鈴木@PDO

17.03.21

ヘルメットの使い方

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台の上に均等に並んだヘルメット。
ダイニングに取り付け予定の照明にみたてています。

本物はオーナーセレクトのイタリアのアンティーク照明です。
配線工事にも関わる取り付け位置を、現場視察にいらしたオーナーと検証していきます。

「テーブルの位置がここで…」
「中心がここだから…照明の大きさを考慮して間隔はこのくらい!」

実際の空間で考えるからこそ、スムーズに決められることもあります。
取り付け方法も一緒に確認できました。
鈴木@PDO

17.04.04

ベベルサイディング

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またの名を南京下見張り。
これまた音にこだわるオーナー指定の仕上げです。
表面は音を反響させないよう、ラフソー仕上げ。
この部屋に入ったとたん、雰囲気がガラッと変わります。
同じ建物内にいるのに、違う空間にいるみたい…
思う存分趣味を堪能できそうです。

鈴木@PDO

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仕上げ工事がんばります。

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内部の木部は古色仕上げです。
サロン棟では一足お先にカオリン塗り壁、タイル張りも終えました。
古色塗装は5工程もある手間仕事。
うっとりするほどきれいな仕上がりです。

外部では煙突部分へのレンガタイル張り進めています。
こちらも色にランダム感のあるレンガタイル。
オーナーこだわりのセレクトです。
バランスよく割付張り進んでいます。

鈴木@PDO

17.05.12

足場ばれました ―うろことモノリス―

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足場がばれました。
2001年宇宙の旅の冒頭で登場する黒い壁「モノリス」。
そうした無機的な黒壁と有機的な木のうろこがなんとも言えない雰囲気をつくっています。
まるで歩き出しそうです。

中村@PDO

17.05.24

火入れ式 ―けやき芽吹き―

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都会では連日真夏日が記録される中、八ヶ岳の西麓はまだまだ浅い春です。
ここでは日一日と芽が開いていきます。
けやき三兄弟も芽吹いてまいりました。
次郎が少し元気がなかったのはもともとですが、枯れた枝もあるようです。

今日はオーナーに完成のご確認にいらしていただきました。
応用問題のそのまた応用問題の家です。
予測がしきれず少し残した工事もありました。

それでもオーナーにはこの家のこころ、薪ストーブへの火入れをしていただきました。
もうこれからの季節は燃やすこともないでしょうか?
いえいえ、
ここでは朝晩はまだ冷え込みますし梅雨時ともなると火がほしくなることもあります。

さすがにアンコールは立ち上がりがはやいですね。

中村@PDO

17.06.09

引き渡し ―チャッピィ&カンナ―



「一粒で二度おいしい」はアーモンドグリコ。
「一件で二棟ぶん」は欅三兄弟の家。
ゲストサロン棟とレジデンス棟を渡りデッキ(ドッグトロット)が連結します。

今日は初めて!チャッピィとカンナは新しい家に入ることが許されました。
いつもは外でひたすら待っていましたから、
今日のはしゃぎようと言ったらもう・・・・!

それでもまだ恐る恐るですね。
いまに設計意図どおりにドックトロットを駆け抜けて遊んでくれることでしょう。

中村@PDO

17.06.16

完成!―三兄弟の安寧―



完成!―三兄弟の安寧―

はじめて敷地を訪れたとき、見事な姥ユリの群生と欅巨木群に圧倒されました。
八ヶ岳西麓の原村にはこうした原始的環境が残っています。
オーナーから要望されたライフスタイルと何よりもこの欅巨木と共存する
家の在り方を長い間考え続けた挙句ゲストサロン棟―ドッグトロット―居住棟と、
三本の欅をぬうように分散配置された建築案が出来ました。

欅は一番手前から「一郎」「次郎」「三郎」と名付けました。
オーナー家族の生活とともにある存在となります。

三兄弟は多くの動物の兄弟がそうであるように、
個体ごとに全く性格が違います。
一郎は長男らしく家の正面にでんと居座る立派な幹立ちです。
次郎は少し体が弱いせいか繊細で少々神経質。
三郎は自由奔放でやんちゃで、ぼうぼうと旺盛に葉を出します。

多くの職人の結晶である家も、その過程で環境はダメージを少なからず負いました。
もと合った姥ユリ群生の状態に一刻も早くもどしたいとオーナーはおっしゃいました。

中村@PDO                      写真;松村誠