2014.08.04

建築家ヴォーリズを訪ねる 1

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軽井沢建築文化の父ヴォーリズ。近江八幡のヴォーリズ記念館、洋館群など視察に行ってまいりました。
  
戦前の時点ですでに設計作品が1600件を超えたとのことです。それほどの仕事をこなす原動力はなんだったのか、どのようにしてなし得たかなど、今後の自身の建築家としての立場を、あらためて見直すことにもなる、有意義な旅となりました。
  
戦前の日本の田舎に、宣教師として一人近江に来て、多くの偏見もあるなか、キリスト教布教、社会貢献の一手段として、設計技術を振ったのでした。これが原動力でしょう。近江八幡市の名誉市民第一番目は、ヴォーリズです。
  
人類はみな兄弟という精神で、近江兄弟社を発足し、様々な教育事業や販売事業を発展させました。ここに多くの賛同者が存在します。建築作品の多産は時代が求めるままに、進めることができたのでしょう。
  
ただ、ここには当時欧米で興っていた、新しい建築思潮モダニズムとの関連性や、ジャポニスム(日本建築文化)との意図的、意識的なデザインチャレンジは観て取れません。極めて禁欲的です。キリスト教教理に照らして、必要最小限を追及していたのかもしれません。それが結果的に装飾を排除した、「さりげなさ」という表現を生んだのでしょう。